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人工羽毛/羽毛の代わり
素材(原料)の面から解説
「人工羽毛」には決まった定義がなく、同じ名前でも中身の素材はまったく違います。このページでは商品の紹介ではなく、中わたの素材そのものに絞って、羽毛の代わりになるわたの違いと見分け方を、布団をつくる側の目線で解説します。
定義がないなら、
私たちが定義します
羽毛には「ダウン率」や「ダウンパワー(DP)」という共通のものさしがあります。ところが「人工羽毛」にはそれがなく、普通のポリエステルわたでも同じ名前で売ることができます。これが、人工羽毛が選びにくい一番の理由です。
でも、「羽毛」と名乗る以上、最低限そなえるべきことがあるはずです。イシケンは、次のように考えています。
ISHIKEN の「人工羽毛」の定義
- ? 洗っても綿切れしにくい
- ? 濡れても乾きやすい
- ? 乾燥機にかけられる
乾燥機にかけられない布団を、
「洗える布団」とは呼んでほしくない。― イシケン代表 石川倫之
布団は、洗うことより乾かすことのほうがずっと大変です。大きな布団を家で洗っても、乾かせなければ生乾きのにおいやカビの原因になり、結局クリーニングに出すことになります。「洗える」は、乾かせてはじめて意味があると私たちは考えています。
暖かさの正体は
「空気層」です
布団そのものが熱を出すわけではありません。暖かさは、体温で温まった空気を、どれだけ多く・逃がさずに抱えておけるかで決まります。
羽毛布団で「かさ高(ふくらみ)が大きいほど品質が良い、暖かい」と言われるのはこのためです。ふくらみが大きいほど、温まった空気の層が厚くなります。
ポイントはここです。同じかさ高なら、暖かさにはあまり差が出ません。でも、重さは大きく変わります。軽い素材でふくらむか、わたを詰めてふくらませるかの違いです。
わたを詰めてふくらませた布団
暖かさ 同じ
重さ
軽い素材でふくらむ布団
暖かさ 同じ
重さ
※ 図はイメージです。同じ厚みでも、詰まっている繊維の量で重さが変わります。
そして重さは、眠っている間ずっと体にかかる圧迫になります。だから人工羽毛に大切なのは、軽さとかさ高を両立していることです。
眠っている間、
掛け布団はどうあるべきか
素材だけでは、良い掛け布団になりません。眠っている間の掛け布団に求められるのは、次の3つです。
- 包む
適度な重さで、体にフィットする
軽すぎて浮くと、肩口などから暖かい空気が逃げます。体に沿って包み込み、暖気を保つ重さが理想です。
- 動ける
寝返りが打ちやすく、ずれにくい
人は一晩に何度も寝返りを打ちます。重い布団は寝返りの負担になり、ずれやすい布団はそのたびに暖気が逃げます。
- 構造
冷える場所(デッドスポット)をつくらない
縫い目の部分は中わたが薄くなり、そこから冷えます。どこにどう縫うか、キルティングの構造で暖かさは変わります。
つまり、軽さ・かさ高・構造。この3つがそろって、はじめて「羽毛の代わり」になる掛け布団といえます。
羽毛の代わりになるわた
4つのタイプ
原料はどれもポリエステルが中心ですが、繊維の形と組み合わせ方で性質が大きく変わります。何を羽毛に似せようとしているかの違い、と考えると分かりやすくなります。

ポリエステルわた
繊維にシリコン加工した、一般的なポリエステルわた。
- 価格が手頃で、洗えるものが多い
- ふくらみを出すには量が必要で、重くなりがち
- 使ううちに潰れやすい

粒わた(ボール状わた)
羽毛の「粒」の形に似せて、わたを小さな玉にしたもの。2種類のわたをブレンドしたものもあります。
- 偏りにくく、ふっくら感が出やすい
- 羽毛布団と同じように、空気で吹き込んで中に入れられる
- 羽毛用の側生地をそのまま使える
つくり手の実感:イシケンでも粒わたを扱っています。布団をつくりやすいのはメーカー側の大きなメリットです。一方で、キルティングの1マス(1部屋)の中で粒が中央に集まりやすく、縫い目まわりにデッドスポットができやすいと感じています。
※ すべての粒わたが同様というわけではありません。

細い繊維+太い繊維
羽毛のような細い繊維に、形を保つ太い繊維を組み合わせたもの。アウトドアウェアの中わたで知られます。
- 濡れに強く、保温性が高い
- ウェア向けの薄いシート状が中心
- 布団でのかさ高は製品ごとに確認

繊維構造型
特殊な糸で羽毛のような立体構造をつくり、空気を抱え込むもの(例:エアーフレイク®)。
- 少ない量でかさ高が出るため軽い
- 長い繊維で綿切れしにくい
- 製造できる工場が限られ、価格は高め
※ 分類はおおまかな目安です。同じタイプでもメーカー・品質によって性能は異なります。
素材で見る
チェックリスト
商品名ではなく、素材の性質で確認してみてください。商品ページで分からなければ、お店に聞いて答えられるかどうかも判断材料です。
- 大前提(羽毛の代わりと名乗るなら)
軽いか
同じ暖かさのクラスで比べて軽いか。
暖かいか(かさ高があるか)
中わたの量(g)ではなく、ふくらみで暖かさを出しているか。
ふんわり戻るか
押したあと、使い続けたあとにふくらみが戻るか。
わたが寄りやすくないか
マスの中でわたが片寄ったり、中央に集まったりしないか。寄ると薄い場所から冷えます。
- 「洗える」と名乗るなら
綿切れしにくいか
洗ったあとにわたが偏ったり、ちぎれたりしないか。
乾きやすいか
濡れても中まで乾きやすい素材か。
乾燥機にかけられるか
洗濯表示でタンブル乾燥ができるか。できないなら、乾かす方法を必ず確認。
- 構造
冷える場所をつくらない縫い方か
キルティングの形や、マスの大きさについて説明があるか。
中わたと一緒に見てほしい
「側生地」
どんなに良い中わたでも、包んでいる側生地(布団の外側の布)の通気が悪いと蒸れます。たとえばポリエステル100%の生地は軽くて安価ですが、通気性が低く、蒸れやすい点は知っておいてください。
「人工羽毛は蒸れる」と感じる原因が、実は中わたではなく側生地だった、ということは珍しくありません。中わたと側生地は、分けて確認するのがおすすめです。
側生地の素材ごとの違いは、布団の側生地の選び方で詳しく解説しています。
よくあるご質問
Q.人工羽毛は本当に暖かいの?
素材によってまったく違います。暖かさは「温まった空気をどれだけ抱えられるか」で決まります。かさ高が出る素材なら羽毛に近い暖かさになりますが、ふくらみを量で出している素材は、同じ暖かさでも重くなります。
Q.人工羽毛は蒸れるって聞いたけど?
蒸れの原因は、中わたよりも側生地の通気性であることが多いです。これは羽毛布団でも同じです。中わたと側生地を分けて確認してください。
Q.なぜ「乾燥機OK」にこだわるの?
布団は洗うより乾かすほうが大変だからです。大きな布団は自然乾燥だと中まで乾きにくく、生乾きのにおいやカビの原因になります。乾燥機にかけられて、乾いたあとにふくらみが戻る。そこまでできて、はじめて「洗える布団」だと私たちは考えています。
Q.粒わたとそうでないわた、どちらが良い?
一概には言えません。粒わたは偏りにくく、ふっくら感が出やすい素材です。ただし製品によっては、キルティングのマスの中央に粒が集まり、縫い目まわりが薄くなることがあります。広げた状態で、縫い目の近くにもわたが入っているかを見ると判断しやすくなります。
Q.羽毛と人工羽毛、結局どちらを選べばいい?
天然素材ならではの湿気の吸い放ちや、体に沿うしなやかさを重視するなら、上質な羽毛が向いています。自宅で洗って乾かしたい、ホコリや動物由来の素材が気になるなら、このページのチェックリストを満たす人工羽毛が候補になります。
このページは、広島県福山市の布団メーカー・イシケン株式会社が作成しています。当社では、このページで紹介したタイプBとタイプDのわたを使った布団を製造しています。素材の選び方でご質問があれば、お問い合わせからお気軽にどうぞ。


